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2019.12.1|No.66 よくある勘違い

さて、今回は少し話題を変えて、患者さんとお話ししていてよくある勘違い・誤解についてお話ししたいと思います。全部で5つです。

①「風邪(かぜ)なのに抗生剤が効く」 という勘違い

ブログNo.12 かぜ④「かぜと抗生剤」でも書きましたが、いわゆる風邪や、腸炎というのはほぼウイルスが原因です。抗生剤は細菌に対してのものでありウイルスには効かないのですが、これを勘違いされていることがよくあります。

幸いうちの病院にずっと通院されている方は、もうほぼ理解されているので説明する機会は少ないですが、福山夜間成人診療所などに出務した時に風邪であっても「なぜ抗生剤をもらえないのか?」と聞かれ、理由を説明する機会は多いです。

②「血圧の薬は、血圧が高い時だけ飲む。飲んだらすぐ下がるし」という勘違い

これはこの11月に、鞆の浦公民館で住民向けの講演をした時にもお話しさせて頂いた内容です。
血圧の薬は基本的に、頓服(調子悪い時に飲む)という飲み方はしません。
血圧の薬などはゆっくり効いて長時間(1日など)効果のあるものがほとんどで、毎日内服を続けることで徐々に血圧を下げていくものになります。

なので、よっぽど血圧が低く症状がある時を除けば、基本的に毎日飲むべきなのです。


③検査で陰性(マイナス)だったら、大丈夫 という勘違い

インフルエンザのシーズンになってきましたが、風邪をひいた時にインフルエンザの検査をして陰性(マイナス)だとほっと一安心という方もいるのではないでしょうか?

このインフルエンザの検査、陰性だから絶対インフルエンザにかかってないとは言えないのです。
例えば発症まもない時にはウイルス量が十分でなく検出できないケースがその代表です。

他にも風邪をひいて、X線(レントゲン)撮影したら異常なかったというケース。
肺炎ではないと思っていたけど、CT撮影してみたら小さい肺炎がわかったというようなこともあります。

インフルエンザの検査やX線の検査に限らず、ほぼどの検査にも言えることですが、どの検査も100%正確というものはないことを覚えておいて欲しいです。



④薬を飲んで調子が悪くなったのは全部アレルギーと思う 勘違い



薬を飲んで、例えばちょっと吐き気が出たり、下痢をしたとします。
これらはよくある副作用の症状なのですが、それを全てアレルギーと思い、自分はアレルギー体質と思い込んでしまうことがあります。
アレルギーというのは、通常の副作用と違って多くの人には起こらないその人特有の過敏反応で、体にブツブツが出るのがアレルギーの代表です。


ちなみに通常の副作用だと「今回は副作用が出たけど、次飲んだら副作用が出なかった」ということも多く、飲んではいけない薬にはなりませんが、アレルギーの場合は基本的には一度出現したら以降は飲まない方が良いです。


⑤薬が根本治療という 勘違い

薬が、体をよくしている という勘違いはかなり多いです。
あくまで薬は対症療法(症状をとっている)のことが多く、根本治療ではないことが大半です。

例えば、風邪をひいたときの風邪薬は、咳や鼻水の症状を軽くしているだけです。
さらにコレステロールが高いときのコレステロールの薬は、一見コレステロールの値を下げて根本治療になっているように見えますが、薬で無理やり下げているだけで、本来はコレステロールを下げるために生活習慣を変えることが根本治療なのです。

この根本治療を怠っていると、対症療法としての薬がどんどん増えてしまうことになります。


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