サムネイル画像
2021.01.31|No.80 新型コロナウイルス⑧「コロナにまつわるウソ、本当」

現在、新型コロナウイルスの第3波が猛威を奮っております。

冬になり寒くなると、ある程度想定はされましたが、まだ収束の見通しは、つきません。(全国でも広島県でも1週間の感染者数はピークを超えてますが、油断できません)

さて、日本で初の患者が出て1年以上経過し、ある程度がわかってきたこの新型コロナウイルスについての、ウソ、本当について記載したいと思います。

①コロナはただの風邪? ウソ?本当? 

先日、「コロナはただの風邪」と主張した政治団体の党首が建造物侵入容疑で逮捕された事例がありました。

確かに若年者にとっては無症状や軽症で済むなど、通常の風邪とほぼ変わりないようなケースも多いのも事実です。もともとコロナウイルスはただの風邪のウイルスですし。

しかし一方で、普段健康な方でも突然亡くなったり、風邪と違って後遺症が残ったりするのが時々見られるなど明らかに違う点があります。

例年のインフルエンザの死者数との比較で、「インフルエンザの死亡数より少ないのに騒ぎすぎ」という論調もあったりしますが、これは数字だけ切り取った誤りだと思います。

確かにインフルエンザは年間3000人程度が亡くなり、関連死も含めると10000人と現在の新型コロナウイルスの死者数(5000人程度)の倍です。

しかし、例年インフルエンザが流行する時と異なり、これだけみんながマスク、手洗いをしてソーシャルディスタンスをとっていて感染者数全体が抑えられている結果であることを考慮しないといけません。

感染者数ではなく、致死率で見ると新型コロナの約1.5%という致死率は、
インフルエンザの0.1%未満(0.01〜0.1%)という致死率とは明らかに異なるのです


↑新型コロナウイルス感染症診療の手引き第4版より

年齢別に見ても80歳以上だと男性が約20%、女性が約10%も亡くなっています。季節性インフルエンザではこんなに亡くなることはありません。

またインフルエンザでは、50代の健康な方が亡くなることや重症になることはほぼ0ですが、新型コロナウイルスは例えば50代男性は0.5%程度命に関わりますし、重症になる方はそれ以上にいます。(逆に小さい子供に関していえばインフルエンザの方が怖い可能性がありますが)

新型コロナが、全員が把握されていなく、実はもう少し患者数が多い=死亡率が低かったとしても、風邪や季節性インフルエンザレベルまで致死率・重症化率が落ちることはないでしょう。

毎年1000万人罹患するインフルエンザの影響で、例年人工呼吸器が足りなくなったりICUが埋まることはないのに、2020年度はそれが起こっているのが何よりの証拠です。

一方で、「コロナはただの風邪」という人の逆で、恐れすぎも良くありません。いつか来るであろう、もっと致死率の高い新型インフルエンザ(20世紀初頭に発生したスペイン風邪のような)やSARSのような致死率10%に迫るようなものではありませんので。

②PCRが陰性なら大丈夫 ウソ?本当?

病気の診断というのは、検査結果だけで決まるわけではなく

状況から検査前にどれくらい疑わしいか(検査前確率と言います) と 
検査結果の 掛け算
で決まります

つまり
・状況から新型コロナ患者である可能性が極めて高い人が 陰性と出ても それは必ずしも感染してないことにはならないのです。(偽陰性)

この「状況から新型コロナ患者である可能性が極めて高い人」というのを判断するのは原則医師です。
ここをすっ飛ばして、PCRの結果だけで判断するのは、掛け算の片方をしてないことになります。

また逆に
・状況から新型コロナ患者である可能性が極めて低い人が 陽性と出ても、それは 感染してないことがあります。(偽陽性)

これらのことを認識せずにPCR結果だけで判断している方も多いと思いますが、検査前確率を意識せずの検査は片手落ちなのです。

またPCRはそのほかにも欠点があって、
その時点での、感染があるかどうかを見ているにすぎません。潜伏期間を経て後日陽性になることも多々あります。

さらに、新型コロナに感染後治癒してもはや感染力はないのに、新型コロナの死骸だけひろってPCR陽性が出続ける人もいます。

なので治癒証明としてPCR検査をすると、もはや感染力はないのにそういう扱いをされることにつながります。

以上のようにPCRはその解釈には、注意が必要なもので、そこを考えずに
とにかくPCR検査結果が全てという論調は非常に危ないです。

一覧へもどる