
前回、痛みについて、どうやって危ない痛みかどうかを見分けるのかについて書きました。
今回はその痛みの中でも、緊急性の高い危ない痛みではないけど、むしろ急性の痛みより複雑かつ厄介な慢性の痛みについて書こうと思います。
そもそも痛みというのは、生体に何かが起こっていることを知らせる「危険信号」です。
それがないと、体で大変なことが起こってることに気づけないので、痛みは本来必要なものではあるのですが、一方、その痛みが(原因が取れても)ずっと続くというのは本来おかしいことなのです。
つまり慢性的な痛みは、「危険信号」ではなく、どこかに問題が生じてしまい起こっていると言えます。
具体的には、原因がまだ取りきれてない場合を除けば、
痛みが短期間で治らない場合に、神経系が「痛みを記憶」し、神経回路の過敏化や心理的要因が絡んで痛みが慢性化することが多いです。
①神経回路の過敏化
本来痛みを感じないレベルの感覚であっても痛みとして感じてしまったり
また、痛みを抑える神経系(下行性抑制系:脳から脊髄にかけて痛みを抑える回路)がうまく働かないことによる場合もあります。
この痛みを抑える神経系は、何かに集中してるもしくは楽しいことをしてるとよく働いたりします。
逆に不安があるとこの神経系は働きにくくなります。
②心理的要因
痛みが長く続くと当然精神的に参ってしまい、悲観的になりますが、それが余計に痛みを増幅することが多いです。
一方で痛みの発症自体に心理的要因が絡んでいることがあります。
原因不明の疼痛だと思って来院されて、結果的にストレスが原因だったというケースもよく見かけます。
つまり、慢性化した痛みに関しては
・痛みを起こしている原因対処だけでなく
・神経過敏を抑えること(一旦痛みを遮断する薬を使う)
・精神的な面の調整
いずれも必要ということになります