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2018.08.19|No.38 便潜血検査

今回は、大腸がんの発見のために使用される、便潜血(べんせんけつ)検査についてです。

便を検査に出して、その中に目に見えない程度の血が混じっていないかを見る検査です。40歳以上から急増する大腸がんを発見するために市民検診や人間ドックなどで広く行われています。通常2回検査で行います。

一般的には1000人が便潜血検査を受けると便潜血が陽性(プラス)に出る人が50−100人でその中で、内視鏡検査(大腸カメラ)の精密検査で異常が見つかる人は30-40人。

その見つかる異常のほとんどはポリープか痔(じ)、さらには憩室(けいしつ)や血をさらさらにする薬などによる一過性のものであり、実際に大腸がんがみつかる人が大体1-2人という統計があります。つまり便潜血陽性と出た人の中で、約2%しか大腸がんではないのです。

1000人が便潜血検査を受けた場合のそれぞれの人数を表にします。

項目人数便潜血陽性者からの割合
便潜血陽性50-100人 
何か異常が見つかる人30-40人60-70%
がんが見つかる人1-2人2%

確かに便潜血陽性(プラス)患者では、陰性(マイナス)患者と比べて10倍大腸がんが見つかる確率は上がります。しかし、実際に私も、以前働いていた病院で、数多くの「便潜血陽性」の方の大腸カメラをさせて頂きましたがそのほとんどが、大腸がんではありませんでした。ですから便潜血陽性と聞いても焦らないでください。

また便潜血検査の数値によっても、がんがある確率は変わってきます。

2回検査の定量合計値が2000ng/mlを超える場合は、約20%の確率で大腸がんが見つかります。
一方で2回とも100ng/mlを切っているような程度の場合は、大腸がんの可能性はほぼ0%です。

一方、大腸がんの人で、この検査がどれだけ役に立つかを示すと
進行がんの人では2回検査法で85%ひっかかります。逆に言うと15%の人は見逃されます。
早期がんに至っては40%程度が見逃されるので、この便潜血検査がとても優れている検査とは言いにくいです。

それでも現状、この検査を上回る簡易な検査はないですし、大腸がんは早期発見する事で治る確率が高いがんですので、是非40歳を超えたら定期的にしておきたい検査です。

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