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2020.03.8|No.70 新型コロナウイルス③「検査」

今回は新型コロナウイルスの検査についてです。

ついに昨日3月7日に、広島県内でのコロナウイルスの患者が判明しました。

既に広島県内にも患者がいる可能性は十分あるとは思ってはいましたが、一方ここまで重症者が一人もいないので、感染者は他にもいるとしても広島県内にはそこまでまだ多くはないと考えられます。

この広島の患者さんが、7回にわたり受診したが検査が一度も受けられなかったことで話題になっています。

コロナウイルスに関しての検査は、3月8日での現状は、PCR検査と言って、ウイルスのDNAを増幅して調べる方法です。のどの奥や痰などから調べれます。
現在は、条件を満たした時に保健所に依頼して指定機関で調べることになります。

テレビでは、1日に検査できる限界数に比べて明らかに検査してきた数が少ないので「もっと韓国のように検査をやればいいのに。なぜやらないのか」とコメンテーター達、中には自称専門家の医師が発言しております。

確かに、広島の事例のように本当に調べるべき人に調べられていないケースがあるのも間違いなく、ここに関しては医師が必要と判断した時に調べれるようになって欲しいところですが、検査をある程度制限する 政府のこれまでのやり方で概ね正しいというのが、私の見解です。
(そして周りの感染症に詳しい医師もだいたい同じ意見です)

検査の問題点、それから検査をやりすぎてしまうことの問題点としては以下があります。

①PCR検査の感度が低い

本来、検査はその結果だけで白黒と判断すべきものではないですが、検査で全てわかると誤解されている部分があります。

例えば皆さんに馴染みのあるインフルエンザの検査でも、1日目は陰性だったのに、次の日調べたら陽性だったのは皆さんも経験されたことがあると思います。

コロナウイルスのPCRでは7回陰性だったけど8回目で陽性になったというような事例もあり、感度がかなり低い(30-70%)と言われています。

感度とは感染者をきちんと陽性とみなす確率です。これが低いということは逆に言えば検査で陰性だったとしても実は感染している(=偽陰性)可能性が結構あるということです。

その偽陰性の方が、陰性のお墨付きをもらうと、「大丈夫」と勘違いして外に出て、感染を広めることになりかねません。
ですので、体調悪い方は検査せずとも、「自分もなっているかもしれない」と思い外出を控える。 
これが理にかなったやり方なのです。

②感染リスクの機会の増加

検査をどこでもかしこでもできるようにしてしまうと、本当は感染していない人が(結果的に別の病気だった人が)、行った病院で感染者からコロナウイルスをもらってしまう可能性が増えます。

家でおとなしく養生しておけばかからなかったのに検査してもらおうと病院に行ったばかりにかかってしまうということです。

さらには、検査数が増えることで医療関係者が感染するリスクも明らかに増えます。

③医療崩壊のリスク

軽症者(さらにはかかってもない人も)がたくさん病院に押し寄せてしまい、重症者がしっかり見れなくなるリスクがあります。

さらには今のままだと、診察した患者さんが後からコロナウイルスと判明した場合に、診察した医療者が、標準予防策を取っているにも関わらず、それだけでは不十分として14日間の出勤停止になる可能性があります。
こうなると医療機関がストップしてしまうことになります。

以上のようなことと、コロナウイルスの8割以上が風邪と同様に軽症で終わるということ、特異的な治療法がない現在は、検査を多用して診断することのメリットがほぼないのです。

とはいえ国民は連日の報道などで、不安が蓄積しています。
政府は対策を打ち出すと同時に、国民が不安にならないように正しい情報の伝達と、どうしてこういう方針なのかをある程度伝えることが重要だろうと思います。

一方、国民も政府に文句だけ言ってても生産的ではありません。
緊急事態、国難なわけで、自分も含めてこういう時こそ一人一人で何ができるかを考える行動すべきだと思います。

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