胸痛の過去3回は、危ない病気の話をしてきましたが、胸の痛みでもそれほど怖くないものもあります。
危ない胸痛は、突然起こる圧迫されるような漠然とした範囲の痛みであることを書いてきました。
一方で危なくない胸痛としては、その反対で
・突然起こったものではない(徐々に起こったものである)
・1本か2本の指でさせるほど狭い範囲
と言った特徴がありますが、それ以外にも
・体をひねったり動かした時のみ痛む
・痛いところを押さえると痛みが明らかに増す
と言った点が特徴としてあります。
「体をひねったり、動かした時のみ痛む」のも、「痛いところを押さえると痛みが明らかに増す」のも
いずれも心臓が原因ではなく、筋肉や骨が原因のことが多いです。具体的に言うと肋骨打撲や肋骨骨折など胸の周りの骨を痛めた時や、胸の周囲の筋肉を痛めた時などです。
皆さんも筋肉痛は、特にその筋肉を動かした時や押さえた時に痛いのを経験したことがあると思うのでなんとなくイメージはつきやすいと思います。
それに関連して、医療従事者の中でもあまり知られていなくて、しかし結構見られる胸痛としてpre cordial catch(プレコーディアルキャッチ)症候群というものがあり、以下のような特徴があります。
・数秒から数分程度の短い痛み
・胸の鋭く刺すような痛み
・指で示せるほど範囲が狭い
・頻繁ではないが繰り返す
・10代から20代前後の若い人に多いが、全年齢で見られる
・安静時に発症することが多いが、深呼吸で悪化することが多い
筋肉のけいれんや肋間神経が原因ではないかと言われていますが、結構強い痛みでもあり、かつ病院に行って調べても異常がないため原因不明とされる中に、この病気が入っています。
自然に改善しますし、年齢が上がれば痛む回数は減っていきますので特に治療しなくても大丈夫です。