2018.05.20|No.32
失神①「失神=頭が原因」は 間違い
失神とは一時的に意識を失うことです。
医学的には、一時的に脳に血流に行かず意識消失する状態ですが、数分以内に完全に意識が戻るものを言います。(時間が経って意識が戻りつつあるも、完全に意識が戻っていないものは失神ではなく意識障害といいます。)
救急車で来院する患者さんの数%を占めるとも言われ、救急診療をしているとよく遭遇します。
この失神の原因ですが、一般の人はもちろん医療者でも頭の病気が原因であると勘違いしている人が多いです。統計では、失神で頭の病気が原因であることはせいぜい多くて10%程度です。
自分はおそらく今まで失神 で来院した患者さんを数百人は診ていますが、その中で頭が原因だった方は10人にも満たない程度です。
特に医療者でも勘違いしがちなのが、失神=TIA(一過性脳虚血発作)=脳梗塞の一歩手前という間違いです。
一過性脳虚血発作というのは脳梗塞の一歩手前のようなものですから、通常麻痺やろれつ障害など脳梗塞の症状が出るはずです。
もちろん一過性脳虚血発作で失神を起こすこともありますが、失神以外に症状がない一過性脳虚血発作は極めて稀です。
しかし、失神=TIA(一過性脳虚血発作)と誤診されている例は極めて多いですし、失神した方を頭のCTやMRIだけ撮影されて大丈夫と言われて帰宅させられている例が極めて多いですが、これらは、ほぼ間違いです。
次回に失神できちんとみるべき病気についてお伝えします。